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Channel: 江戸前ネギ巻き寿司
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クリント・イーストウッド作品の思い出。

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 ども、江戸です。今日はクリント・イーストウッド監督作品について語ってみましょうかね。



●硫黄島からの手紙

     
 第二次世界大戦の硫黄島戦を日本側からの視点で、アメリカ人のクリント・イーストウッド監督が映画化した物ですが、ほぼ全編を日本人の役者が日本語で演じているので、何も知らずに観れば邦画だと勘違いするでしょうね。勿論、映像のクオリティは邦画以上ではありますが。

 で、この映画、凄惨な戦場の描写がある訳ですが、実はテレビで観るとそれほどでもないのですよね。しかし映画館の大画面と音響設備でこれを体感すると、全く印象が違います。私は集団自決のシーンでちょっと吐きそうになったよ……。案外腹の底に響くような重低音の効果って影響力あるのな……(そういえば、『ワールドトレードセンター』を観た時も、人が墜落する時の音が怖かったわ……)。

 そしてその集団自決シーンのように、日本軍による自軍兵士への理不尽なシーンは多々あるのですが、だからと言ってアメリカ側が正義として描かれている訳でもなく、米兵による捕虜殺害のシーンなどもあって、割と中立的な視点で作られている印象があります。これも邦画っぽく感じる一つの要因になっていますね。

 なお、タイトルになっている「手紙」はそれほど物語に絡んでいるとは言い難いのですが、書かれた手紙が結局戦後数十年も発見されずに誰にも届かなかったという描写の通り、それだけ沢山の人達の想いが無駄に消えたのだと思うと切なくなりますし、戦争の悲惨さを象徴していると言えるのかもしれませんねぇ……。


 そしてもう1本。


●父親たちの星条旗

     
 『硫黄島からの手紙』と合わせて二部作となる作品ですが、こちらの方が先に作られています。内容は硫黄島戦の時に撮影された一枚の写真がアメリカ本国で戦意高揚のプロパガンダとして使われてしまった所為で、その写真に写っていた兵士達がにわかに英雄として祭り上げられてしまったという……。そんな彼らの葛藤が描かれています。

 つまり『硫黄島からの手紙』と同様に、こちらも国の都合に振り回される兵士の姿が描かれているといえますが、どちらかと言えば『硫黄島からの手紙』が戦場の悲惨さを描いているのに対して、こちらは戦争に関る政治や経済のおどろおどろしさを描いている感じですね。あの当時のアメリカが英雄を作り上げて、その支援を名目に国民へ「国債を買おう」と呼びかけなければならないほど戦費不足に困っていたというのはちょっと意外な話ではありました。また、人種差別問題なんかにも触れている部分があります。

 そんな訳で、戦争映画としては地味な内容になっているような気もしますが、それを緩和する目的なのか、所々で回想シーンという形で戦闘シーンが挿入されています。まあ、凄惨な描写は、硫黄島上陸作戦の時くらいですけどね。あそこの描写を見る限り、かなり膨大な犠牲者が出ている筈なんだけど、それでも勝ってしまうのだから、物量にはかなわないなぁ……と思い知らされる。

 なんにしても、時間軸が入り乱れているので、物語の全体像や誰が誰なのかを把握し難いという欠点はあるのだけれど、当時のアメリカ本土の空気を知る事ができるという意味では興味深い映画だったと思います。



 じゃ、今日はここまで。

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